中米・タイの旅から戻ってきてから空っぽの日々を過ごしていたわたしは、「日本で年取りたくない!」と誕生日を言い訳に久々の海外へ行くことを決意。
アモイ行きを念頭に考えてたところ、バースデーエスケープ計画を話した友人から同行の申し出あり。 いっしょに台湾に行ったこともあったので、行き先変更。 三年前と同じバリ島へと向かうことにした。

今回の滞在先はウブド。 宿に選んだのは、町の中心から離れたAgung Raka Bungalowsというバンガロースタイルのホテル。
2階建ての一棟のバンガローを一泊$70で貸し切っての日々は、一階のテラスに運ばれる朝食で始まる。 毎朝、スタッフの女性が器用にお盆を頭に載せてやって来る。
内容はシンプル。 トーストとコーヒー、選べるフレッシュジュース(いつもパイン)、そして卵料理。
バリで読もうと持ってきた山田詠美の「熱帯安楽椅子」。 内容はともかく、著者を真似て卵はいつも両面焼きの目玉焼きにしてもらった。 詠美曰く、Closed Eyed Egg。
朝食はいつも遅めの9時に頼んでいたので、それまでの間、バンガローのまわりに生えてる草花を写真に撮った。 一応雨季ではあったが、雨は夜に降った。 おかげで朝の植物の輝く生命力たらなかった。
外出は真昼を避けて、それ以外の時間はバンガローかホテルのプールで過ごした。 近所のワルンにナシチャンプルを食べに行ったり、バリ舞踊のショー前に夕暮れの会場周辺を散策したり。 どこかで誰かが焚き火をしている匂いが懐かしい。
車を出してもらってウブド市場へ。  市場の守り神だろうか、おびただしい供物が積み上げられ、その間を野良猫がうろついていた。
気温が上がるにつれて腐臭が漂う市場を後にして、ネカ美術館へ。 売り場を持て余す売店からは絶景。
別の日にはガイドさんにお祭へ連れてってもらった。 妹さんからバリの正装を借りて着たものの、なんてったってバリ人はスリム。 息を吸うたびに、笑うたびにはじけるスナップボタン。
バリの人といっしょに祈祷に合わせてお祈りし、額に米をつけたり聖水をかけてもらったり貴重な体験をさせてもらった。
かなり大きなお祭みたいで(詳しいことはよくわからず…)、日が暮れても人々は屋台で食事をしたりそぞろ歩きを楽しんだり。 わたしたちも妖しげなアジアの夜を堪能。
しっかり観光したなーというのはゴアガジャくらいなレイジーバリ。
暑さにうなだれながら遺跡を回ると、供物の近くにはおばあちゃんが居り、「ドネーション」と募る。
訛りが強くて「インドネシアン」と聞き間違い、「インドネシアン?ノー。」「ノー、ドネーション。」の不毛なやりとりを数回繰り返す。
チャーターした車で近くのイエプルにも寄り、そこにももれなくドネーション婆。

レイジーバリの帰りはシンガポールトランジット。
トランジットは5時間ほど、連れはシンガポール経験者、そしてシンガポールは東京23区ほどの広さ、となれば世界一快適と言われるチャンギ空港にずっといるのももったいない。
空港からMRTという地下鉄に乗り込んで向かったのは、リトルインディア。 車内にはさまざまな人種が乗り合わせているのに、車窓の外はなんとなく千葉の郊外。 異国情緒と日本での日常感既視感が混ざってふわふわそわそわする。
インド系の人々でなかなかにぎわっている庶民的なお店でチキンビリヤニを注文。 ムスタファセンターを見て回ってからホーカー(屋台の寄せ集めのようなフードコート)に行かねば、とラオパサへ。 生ビールがとても高かったけど、ラクサおいしかった。
バリで誕生日プレゼントにともらったトイカメラで撮った夕暮れのシンガポールは、湿度が高めで好みの雰囲気。 いい思い出になったよ、ありがとう!
これを見ると、あの熱気や通り過ぎてく聞き慣れない言葉 、鼻孔が広がるようなスパイスの混ざった空気を思い出せる。
こうしてひとつ年とって年とったくせにしっかり日焼けして帰国。
バースデーエスケープ、毎年したくなっちゃった。 さて、来年はどこへ逃げようか。

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