8月、母から電話。
「お父さんが長崎に仕事で行くから、お母さんは熊本で降ろしてもらって
 で、友だちと会おうと思うんだけど、あんたも来ない?」
友だちっていうのは、幼稚園時代の団地仲間。
たまたま、両親が鹿児島出身という家族が集まり、引っ越した後も
キャンプに行ったり、お互いの家に遊びに行ったりしてた。
9月の連休、3日だけかー、ちょっと面倒だなー。
最初、お断りしたのだがネットでちょっと熊本を調べてみた。
熊本、と言えば、阿蘇。
阿蘇・草千里の写真を見て、「これだっ、今のわたしに必要なもの!」。
母に電話。 航空券代を出してくれるっていうんだもん、行かないわけがない。
連休だったんだ、航空券がそんなに安くないし、席もない。
結局手にしたのは、金曜日朝6:45発、日曜日昼の便。 んー、仕方ないか。

で、簡単な計画を立てねば。
金曜日は阿蘇でゆっくり散歩でもしよう。 夜は阿蘇の安宿。 温泉もいいなー。
土曜日の夜は市内で集まらなきゃいけないから、市内までの足でおもしろそうなのないかしら。
日曜日は帰るだけだもんな。
母に急かされるも、まったくまとまらない旅行計画。
原因のひとつに、交通機関の問題がある。
観光地とはいえ、田舎の過疎化は電車の本数を減らし、バスをなくし、
免許を持たないわたしは日数があまりないこともあって、いろいろ面倒だったのだ。
  
 ← おおまかな旅行の様子は、アルバムに写真と文章を入れてまとめました。

細かい内容は、以下文章で書いてあります。

  

一日目。
朝?4:30に家を出る。 結局、睡眠時間は2時間。
航空会社は初めてのスカイネットアジア航空(SNA)。 機体、小さい! 古い!
機内で爆睡したあと、熊本上陸。
空港から阿蘇まではバスで。
九州横断バスなどに乗って、阿蘇駅はたまた阿蘇山上まで行けます。
わたしは、 くじゅう1号に乗って空港−阿蘇、¥950
1時間弱で阿蘇駅前到着。
宿は  阿蘇ユースホステル。 素泊まり、¥2450。 駅から徒歩20分くらい、山道です。
駅の隣に総合案内所があるので、まずはそこで情報収集してもよし。
駅前の交差点の右手に、ローソン。 それ以上山に近づくと、コンビニありません。
ひたすらまっすぐ山道をあがって、郵便局、西厳殿寺を通り過ぎてやっとYH。
着いたのは、まだ11時頃。 チェックインは16時。 ん〜、眠い。
阿蘇山上へのバスは出て行ったばかり。 歩けると思ったが、しっかり2時間はかかるらしい。
早朝便でやって来たと言うと、休んでいっていいよ、と部屋に通してもらえた。 やったー。
次のバスまで1時間ちょっと昼寝。 阿蘇駅から阿蘇山へのバスもこんな調子なんです。
YHのおばちゃんに折り畳み傘と手書きの地図を渡されて、教えてもらったバス停でバスを待つ。
 草千里まで¥440。 約30分。 濃霧でほとんど景色見えません。 乗客ほとんど外国人。
草千里で馬を眺めたり、丘に登ってぼーっとしたり、寒いながらもそれなりの草千里を楽しむ。
小腹が減ったので、熊本名物  いきなり団子。 一個、¥100
草千里から阿蘇山上まで徒歩30分くらい。 車道脇なので、歩きにくいことはない。
砂千里に行きたかったのだが、ロープウェイが濃霧で停車。 がっくし。
ロープウェイ乗り場のお土産屋には、行き場を失った観光客(ほぼ韓国人)があふれる。
わたしもここでいくつかお土産を購入。  小国ジャージー牛乳キャラメル、¥160
ガチャガチャには熊本限定ピンバッチ、¥100
3回もガチャガチャ。 出てきたのは、水前寺公園と阿蘇山噴火口、そして、天草四郎!!
天草四郎ほしさに3回も・・・。
阿蘇山上からYH前まで再びバス。  ¥500。 
ちなみに、 阿蘇山上から阿蘇駅は ¥54017時が最終便なので注意。
YHで温泉情報を得る。 たまたま、二百十日祭という夏目漱石にちなんだお祭中。
その一環で、百日限定で一部の温泉の入浴料が¥210になるというもの。
ただ、阿蘇の一駅向こう、内牧周辺の温泉ばかりでちょっと遠いらしい。
中央線の感覚で、「あー、一駅なら歩けますね。」なんて言ったら宿の人に激しく止められた。
あとで電車に乗ってわかったが、中央線の4、5駅分はあっただろう・・・。
結局、駅の近くの温泉施設、 「夢の湯」 に行くことにした。
 駅前ローソンの道路反対側に看板有。 10時〜22時、¥400。 かけ流し。
サウナと景色はあまりよくない露天風呂。 そんなに大きくないが、こぎれいな感じ。
たっぷり2時間ほど、満喫した後、YHまで真っ暗な山道を歩かなければ・・・。
墓地もあったりで、結構こわかったー。 人通りゼロ(あったとこで怖い)、車が数台通り過ぎるだけ。
汗だくでYHに到着。 あー、汗流してきたのに。
宿が真っ暗。 羽蟻の襲撃を受けて、電気を落としているんだとか。 あー、山の中。
昨夜の睡眠時間もあって、9時前にベッドに倒れこむ。
部屋には8つベッドがあるが、宿泊者はわたしだけ。 つーか、ここに泊まっているのはわたしだけ?

  

二日目。
すっかり寝坊。 12時間熟睡してしまった。
本当は、南阿蘇鉄道に乗ったあと、高森からより南の田舎を通って市内に行こうと計画してたが、
YHの人に聞いてもバスはやっぱり廃線。 ないもんはない。
乗り継ぎもしんどいよー、とのこと。 下手したら一日で着かないかもしれないし。
ひとまず、立野から南阿蘇鉄道に乗ることにした。
 阿蘇駅から立野まではJR豊肥線。 ¥360。 これも、本数少ないので。
空が晴れてきて、暑くなってきた。
立野に着くと、ちょうど南阿蘇鉄道名物、トロッコ列車の発車時刻に近い。
繁忙期間をのぞいて、一日2往復しかないトロッコ。
普通の汽車でも雰囲気あるよ、とYHの主人。 (右の写真)
トロッコは窓がないので寒そうだし普通のでいっかと思ったが、晴れてきたこともあって トロッコ列車の切符を購入。
 ¥670。 続々と観光客が集まる。
トロッコの席は指定だが、背もたれのないベンチに無理矢理3人を並べるという強引な作り。
アジアサイズとは言え、鹿児島のおばちゃんたちも黙ってないほどきつめ。 結局、ツアー客が途中乗車しなことが確認取れたので、2両に散らばる乗客。
わたしは指定されたのが、進行方向右側。 阿蘇五岳の反対側だが、景色はよかった。
発車する前に買った、名物にこにこ饅頭(酒まん)を頬張りながら楽しむ。  ¥300(8個入り)
出発してすぐに渓谷を渡る橋を通過。 こわー。 速度は25km程度。
すっかり機嫌を直した空、車内に笑い声が響く。
大好きな田園風景を見ながら約一時間のトロッコ列車、終点の高森到着。
さて、ここからどうするか。
本望は、高森から馬見原、矢部を通って市内へ。 サザンルート、奥阿蘇と言うらしい。 
以前は、高森からこのルートでバスがあったらしいが、それが廃線。
馬見原まで行くにも、一日数本。 そして、馬見原から市内へのバスは未知の世界・・・。
免許があったら、と今更嘆いても仕方がない。
ひとまず、高森のバス停へ。  高森駅から通りを直進、左手に真新しいログハウスときれいな芝生、元気に遊ぶ小学生が見えたら、そこがバス停兼高森町観光案内所
案内所のおばさんは、非常にいい人。 列車で来たので、バスで市内へ行きたいんです。
熊本市内への快速バスは、2時間後。 んー、汗がひくのを待ちながら考えるとするか。
しばらくして温泉だ、とひらめいておばさんに近くにお風呂があるか聞くと、町の地図をくれ、
2つ教えてくれた。 高森温泉館月廻り温泉公園
前者は大きい温泉施設、後者はこじんまりした温泉。 どちらも根子岳が見えるそう。
温泉に行くバスと市内行きのバスに間に合う帰りのバスの時間まですべて調べてくれた。
荷物は置いていっていいから、とおばさん。 もー、気がきく!
では、行ってきますと表に出ようとすると、「これ持って行きなさい。 湯上りにちょうどいいわよ。」
と、凍ったペットボトルをくれた。 近くの湧き水を汲んで凍らせているという。
冷たいけど、あったけ。 ありがとうね。
田舎道や道路脇を歩くこと、30分ほど。 汗だくでやっと月廻り温泉に到着。
 入浴料は¥500と少し高め。 ロッカー代の¥100が返ってこないってのも、ちょいと痛い。
お湯はかけ流しでサウナもあり。 露天風呂の真正面には、ギザギザの根子岳。
右手には米畑が広がり、農作業中のおじさんの姿も木立からちらちら。 って、見てませんか?!
長々と半身浴をしていると、金のネックレスなどをつけたまま入浴中のおばさんに話しかけられた。
破綻したサザンルート計画を話すと、そっちの方面を通って来たと言う。
話はぽんぽんと進み、なんと市内まで車に乗せてくれることになった。
あまりの嬉しさに一気にのぼせる。 目が回る〜。
湯から上がって休憩所に行くと、先に出ていたおばさんとその連れの中国人の男性。
おいしい湧き水が有名な高森に水を汲みに来たというおふたり。
熊本の清酒 「れいざん」 も、ここ高森町で作られている。
まずは荷物を取りに観光案内所まで行ってもらう。
案内所のおばさんに事の次第を話すと、とても喜んでくれた。
道行く人に水源の場所を聞きながら田舎道を走る。 バスじゃこんな所、来れなかったな。
着いたのは、湧水トンネルという観光施設。
ふたりは車で水を汲みに、わたしはトンネル入口で降ろしてもらった。
トンネルは料金を支払わなければならないらしい。
実はわたしの財布の中身はカツカツで、昨日急いで母に郵便局の口座に義援金を頼んだのだ。
それでもなかなかお金がかかる日本の旅、んーギリギリ・・・。
しかし、バス代が浮いたのでちょっと余裕が出たか、地元のじいちゃんばあちゃんが地元でとれた ヤマメの塩焼きを売っていたので
一匹食べることにした。  一匹、¥500。 安くはない。
大好きな川魚をむしゃむしゃ。 おいしー。
ふたりはすぐに戻ってきて、ばあちゃんが売ってるブルーベリーを一パックお買い上げ。
おばさんはサバサバしてとても元気な人で、行きたい所があるのよ、と車を走らせる。
到着したのは、グリーンピア
鹿児島にも同じ名前の宿泊施設があったよな、確か国営の、民間に安ーく売られて・・・。
その中に、アスペクタという野外ステージがあるそうでそこに行きたいそうだ。
わたしが行った翌日、南こうせつのライブがあったのだが、台風13号によって中止となり、
わたしたちが着いた時にはちょうど大掛かりな機材を片付けている最中。
白いステージは、阿蘇五岳をバックに立ち、観客席であるところはきれいな芝生の斜面。
芝生の背後には、ススキが群生しピンク色に山肌を染め、なんともいい所!
こんなところでライブなんて、ステキすぎる。
テントを畳む南こうせつ応援団。 和歌山ナンバーを見てわたしも悲しくなるのだった。
その後、車は俵山方面へと向かう。
わたしの中国旅行の話などをしながらドライブをしていると、突然きれいなコスモス畑を発見!
興奮するわたしとおばさん、クールなリアリストの中国人。
コスモス畑があったのは、萌の里というところ。  本当に一面、ピンク色のじゅうたん。
おばさんに感謝したいが、まだ名前を伺っていなかった。
逆に下の名前を聞かれ答えると、わたしの名前に「子」を足したのがおばさんの名前だった。
運命、に敏感なおばさんは口をパクパク、手をヒラヒラさせて驚いている。
それを苦笑いで見る中国人。
わたしが2つある温泉で月廻りを選んだと拍車をかけると、
「こんな所に来れたのはあなたのおかげっ!」 と逆に感謝されてしまった。 台詞、とられちゃった。
そのまま少し走ると、ミルクの里という所に着いた。
ここのソフトクリームがおいしいという。
心配している知り合いのおばさんから電話。 話している間にわたしの分まで買ってきてくれた。
真っ白なソフトクリームは、牧場の味だけどさっぱりしてて3個は食べれそ・・・。  ¥265
新しいトンネルが出来たおかげで市内、空港、阿蘇とかなり近くなったそうだ。
あっという間に、健軍。 自衛隊前のバス停で降ろしてもらう。
本当にありがとうございます!
車を降りると、頭上から 「ヒヒーン」。 見上げれば、トラックに荷台に馬の頭。 心で爆笑。
後で聞いたところ、 藤崎八幡宮秋季例大祭という祭が翌日あるようで、その祭では
飾りをつけた馬を追う、馬追いという神事が見ものなんだとか。 その宣伝らしい。
しかし、生きた馬を荷台に乗っけて車道を走るとは。 大体、祭の宣伝て何だ?
近くに住む知り合いのおばさんに電話。 しばらくして、助手席に母を乗せて迎えに来てくれた。

  

 

三日目。
昨夜は母と知り合いのうちに宿泊。
台風13号は進路を九州にまっすぐ向け、本日上陸のもよう・・・。
母は、台風や置いてきた猫が心配で早朝、新幹線に乗って帰宅。
わたしはしっかり朝寝坊させてもらい、朝ごはんをいただく。
ニュースではずっと台風情報。
念のため、航空会社に電話してお昼の便の運行予定を聞くと、大丈夫との返事。
しかし、テレビ画面に流れっぱなしのテロップには午前の便は欠航が決定と出ている。
お昼、おばさんに車に乗せてもらい空港へ。
空港が近づいた頃、ANAのジャンボ機が飛び上がったのが見えて、何とか帰れそうだね、と
話して駐車場へは入らずそのまま降ろしてもらって別れた。
空港内に入ると、何だか薄暗い。 あれ、やな予感・・・。
出発便の掲示板を見ると、「欠航」の二文字。 もー、笑うしかない。
ひとまずカウンターへ行くと、やっぱり欠航。 明日へ振り替えるにも、満席。 ありゃ。
明後日火曜日の便なら押さえる事ができるというので、チケットを変更してもらう。 仕事が・・・。
携帯から空席照会ができ、明日の空席ができたら予約センターに電話して、また日付を変更してもらうよう、カウンターのお姉さんから言われる。
そーします・・・。
おばさんに電話。 運転中だからもちろん出れない。
もう家に着いてる母に、苦笑いで電話。
わたしの復路便の運の悪さは定評があり、母も 「また〜?笑」 といった感じ。
おばさんからまもなく折り返し電話があり、空港に戻ってもらった。 申し訳ないです。
車内で空席照会をすると、明日の最終便が1席残ってる!
すぐに予約センターに電話。 運よく、すぐにつながったが。
「お客様はすでに火曜日の便に一度変更なさってますので、二度目の変更は承れません。」
な、なんですって?!
いや、カウンターのお姉さんはいいって、そうしなさいって言ってたんです。
と、必死。 引き下がるもんですか。
すると、上司に相談でもしているのか数分保留にされ、
「かしこまりました。 こちらの案内に手違いがあったので、明日の便に変更させて頂きます。」
電話の向こうの渋々感はかなりのものだったが、こうするしかない。 ありがとう。
その日は、スーパーも早々に閉店。 夕方から風が強くなり、テレビの前で台風情報とにらめっこ。

  

 

予定外の四日目。
台風は大量の木の葉や小枝を道路に撒き散らして、雲もさらって行った。
おばさんは気遣って、近くの動植物園に連れてってくれた。 入場料、¥300
久しぶりの動物園。 動物好きのわたしには、年齢は問題じゃない、楽しい。
なぜか、猿と熊だらけの動物園。
突然始まった動物パレードは笑えた。
リヤカーの上にケージが乗り、その中にウサギですからっ。
最後尾は、腰にリードを巻かれた日本猿一匹ですからっ。 くー、シュール。
2時も過ぎて、同い年の友だちがわたしのお守りをしてくれることになった。
幼稚園の先生だから、適役だ。 って、すみません、市内はてんで調べてないの。
彼女の車で阿蘇に向かうことに。
カンで南阿蘇を走る。 大学時代に、よく阿蘇にドライブに来ていたそうな。 うらやましい!
着いたのは、阿蘇ファームランド
ここのイルミネーションがきれいだとか。 しかし、まだ点灯してない。
お土産コーナーに行って、彼女お勧めのチーズケーキを試食しまくる。 これでもかってくらい…
めかぶ茶というのがあったので、それを飲もうとポットを押すがお湯が出てこない。
しょっぱいしょっぱい言いながら、またチーズケーキ・・・・
お腹も満たされて外へ出ると、まあきれい。
電飾が所狭しとせまいトンネルを照らしている。
そのまま空港まで送ってもらった。 ありがとう。

なんだか、わたしは台風に振り回され、そんなわたしにまわりの人が振り回され、な旅だった。
親切な人ばっかりで、よかった。 みんなに、ありがとう。
余談。
羽田に着いたのは、22時半も過ぎた頃。
すんでのところで吉祥寺行きの最終バスを逃し、電車で帰宅。
0時半・・・。
荷をほどく気力もなくそのままベッドに倒れ、翌朝1時間半寝坊・・・
ー旅は疲れをとる予備日が必要です。

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