朝日を見るために5時半集合。
いろんなホテルで人を拾うので、日の出の時間が迫ってきた。
急ぐバスは揺れる、跳ねる。 いやでも目覚める。
なんとか間に合ったようで、朝のアンコールワットをぷらぷら。
参道の下の原っぱには観光客用の馬が数頭放されていて、コーヒーを売る人が数人いるだけ。
三つの塔の後ろから太陽が昇ってきた。
みるみる白んだ空気がオレンジに変わり、塔はシルエットになっていく。
入り口には客を待つタクシーの運転手や物売りの子どもたちがたくさん待ち受けていた。
ホテルに戻って朝食。
ウエイターの訛りのある英語が聞き取れず、とにかく何でも持ってきて、と頼む。
ゆっくり朝食をとった後、東洋のモナリザと呼ばれるバンテ・アイ・スレイへ。
朝も一緒だった他のホテルの人たちと同じワゴンで向かう。
遺跡群を抜けると、道は舗装されていない土ぼこりのすごい赤い道。
道の両脇には木造の高床式住居が並ぶ。
しばらくすると通行止め。 脇の原っぱに迂回路。
ただ草を刈っただけの回り道はひどくて、椅子からおしりが浮くほど。
一時間弱して着いたバンテ・アイ・スレイには、たくさんの観光客と出店。
ちょうど修復工事中で、有名なデバータ像にはロープのせいで近寄れない。
自由時間をもらったが遺跡自体は大きくないので、お堀のそばの木陰で休むことに。
帰り道、道の真ん中で牛が立ち往生。 しかも目の前でうんこ。
「うんこしてますねー」とソムナンさん。 その目の輝きはなんでしょう。
黄色い長屋風の建物にたくさんの人。
正月のお祭りを小学校でしているそうだ。 いいなぁー、楽しそう。

ホテルに戻り、空港へのお迎えが来るまで三時間。 ホテルの部屋はもう使えない。
ソムナンさんにバイクタクシーの相場を聞く。
オールドマーケットなら連れて行けるというソムナンさんに、スラ・スランに行きたいと言う。
不思議そうな顔をするので、あの子達にもいっかい会ってくる、と付け足した。
ここでソムナンさんとはお別れ。 ありがとう。 オークン!やっくん!

ホテルの入り口で待機するタクシーの運転手さんに「スラ・スラン、ハウマッチ?」と聞くと$5。
ソムナンさんの教えてくれた相場と同じだったので即決。
走り出したところで、道路の反対側から「あーっ!」と叫んで走ってくる男。
すると、運転手さんは笑いながら「マイ フレンド」。
どうやら一休みしている間にわたしという客を逃したので追いかけてきたらしい。
風が当たってクーラーより爽快。
お堀を走ってると、雨のにおいがしてきた。 なんと雨。
運転手さんが脇にバイクを止めて屋根からするするとビニールカーテンを下ろし始めた。
すごーい。
反対側の道路わきではお父さんと女の子がバイクを止めて木の下で雨宿り。
再び走り出すも、運ちゃんはびしょぬれ。 しかし、すぐに止む雨。
到着。 ここで待ってもらうよう伝えて、沐浴場に向かう。
太陽が頭の上の1時。 だれもいない。 物売りもやってこない。
みんながいるか少し心配してほとりにいくと、数人が水遊びをしていた。
しばらくすると次第に子どもたちが集まりだして、私の顔を覗き込んで
「Yesterday, evening, you come here」と口々にしゃべり始めた。 イエスイエス。
すると、「昨日のガイはどうした?」と質問攻め。 あ、ソムナン?
さっきsay goodbyeしたよーというと、 「あー・・・・・・」 とため息。 何か勘違いしてない、ちみたち?
でも、覚えてくれてうれしいよ。
さっそく、日本語の歌をせがまれ、「アイム バッド シンガー」と逃げようとするも、不可能。
仕方なくチューリップを私なりに熱唱。
しかし、チューリップの発音が難しすぎたか、ウケいまひとつ。 選曲ミス★
ある女の子が花の絵を描いてあげる、というので手帳とペンを渡すと、「I am PA」。
そうだ、名前だ! みんなに名前を聞いてく。
賢いトゥックに商い上手のマー、英語が上手なお姉さんはパー
いつの間に摘んできたのか黄色い花をくれた。 
他にもストローで作ったバラの花や売り物の腕輪。 私の左腕には4本の腕輪。
ありがとう。
一緒に沐浴場のまわりを歩く。
突然、あいうえおの練習。 続いてクメール語のあいうえお。
一生懸命みんなの発音を真似るが、さっさと私の言語能力に見切りをつけた彼女たち。 正解。
パーが振り返って「(訳)あの木まで行きますっ!」と大声で言うので、「イエス!サー!」と敬礼をして答えると大笑い。
ほとりに腰を下ろすとパーが花を取ってきてあげるとのこと。
池の中心には白いハスの花が咲いている。
残った女の子たちは「あの池にはクロコダイルがいるよ!」と言い出した。
熱中症になりかけてた私は冷静な判断ができず、普通に驚き、
「パー!カムバーック!」と叫んでいた。
当然、吹き出すみんな。 あー。 やられた。
無事、パーがつぼみをいくつか持って帰還。 とてもいい香り。 ありがとう。
って、えー!
花びらをむしってく彼女。 黄色いおしべが出てくるとそれをほおばり始めた。 あ…。
食べてみると、ハスの実のもっと青い感じ。 おいしか…ないよね。
一番のちびが後ろの草陰に隠れて「オネーサン!」と叫ぶので「NOT オネーサン!」。 
「タイヤッ♪タイヤッ♪」と踊りながら出てくるちび。 ったく、かわいい。
時間がせまってたので、店の並ぶ入り口に戻ると昨日腕輪をプレゼントしてくれた女の子がいた。
「あーっ!」とお互い叫んで抱き合った。 「リメンバーミー?」ときくと、大きくうなずく彼女。
突然思いついて、つけてたネックレスを彼女にプレゼントした。
最初は驚いた彼女だったけど、つけてあげて振り返ったら笑顔。
「バイバイ」とすぐに手を振ってお別れ。
運ちゃん、長いこと待たせてごめんね。 お土産のハスの花を見せると笑ってバイクにまたがった。
結局、今日したことは私のもやもやを解消するためだけなのかもしれない、そう思った。
だけど、向こうからつないできてくれた手や笑顔は、私の大切な宝物に代わりはなかった。

ホテルについて「I enjoy the drive. Thank you」と運転手さんに$5払う。
空港への迎えが来るまでまだ時間がある。 ロビーのソファーでもらった花や腕輪を眺めた。
植物は空港で引っかかるな。 プレゼントを集めて写真に収めた。
そんなことをしてるとニコニコのガイドさんが迎えに来た。
花を処分してくれるように頼むと、目の前でホテルのゴミ箱にぽい。
・・・・・・・・・・・・・・・。 見えないところでやってほしかったな。 私ってばデリケート
フロントに別れを告げてバスへ。 車内で空港での手続きに関して話し続けるガイド。 上の空の私。
「では、最初から言ってみてください」と、突然のリクエスト。 あ、えっと…。 表情が曇るガイド。
空港の中に入ってすぐにガイドさんとはさよーなら。 オークンカンボジア
荷物を預け→航空券を受け取り→出国税。 順調。 できるじゃん、わたし。
搭乗時間まで売店で立ち読みをしながら時間をつぶす。
夕方、眼下に遺跡群を見ながらテイクオフ。 夕焼けがきれい。

暗くなりかけたバンコクの空港には飛行機がたくさん。
そして、白衣とマスクをつけた医者とナースもわんさか。 盛りあっがってます、SARS。
リングさんと合流し、ミールクーポンなるものを受け取る。 なにですか、これ?
しかし、彼女もうまく説明できないらしい。 ミール、クーポン…。 分けて考えてみる。
フロントでホテルマンにミールクーポンの説明を受ける。
和食、タイ料理、フレンチ、中華からセレクトできるそうな。 タイ料理にします。
リングさんが念のため、メモに携帯電話を書いて渡してくれた。 そこには、「ニン」。
え?? リングさんじゃなくて、ニンさん??? ま、いっか。 このままリングさんで通すとする。
背の高いポーターにチップ。 マスクしてるから、表情わかんないよー。 怖いよー。
レストランはバイキング。 さっきのポーターがウエイターも兼任しているよう。
私のテーブルの近くに立っていろいろ世話を焼いてくれる。 20バーツパワー??
腹いっぱい食べて、部屋へ戻る。 部屋番号はえっと、36・・・・・・なんだっけ?!およよー。
とにかく思い当たる部屋にカードキーを挿して回る日本女子一名。
ピンポンダッシュ気分を少し味わった後、やっぱりだめだとフロントへ。
「I forgot my room number」 「3646」 ありがとう! おー怖い怖い。

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